破風や鼻隠しなど屋根の部材の名称には、それを聞いただけではどの部分を指しているのか把握しづらいものが多くあります。そこで今回は、破風やケラバなどの屋根の部材の名称とそれぞれの特徴をまとめて紹介していきたいと思います。住まいを日光や雨などの厳しい外部環境から守ってくれる屋根は、定期的なメンテナンスも必要になってくる部分でもあります。専門家との話し合いでも誤解が生じないように、しっかりと屋根の部材の名称を把握しておきましょう。
破風(はふ)とは、屋根の妻側の端の部分のことを指し、またそこに取り付けられる板を破風板と言います。伝統的な建物においては、彫刻を施した板が取り付けられ、装飾的な役割も果たしていましたが、現在の建物においてはシンプルなデザインで、屋根の妻側の端の部分を雨や風、あるいは火災から守っていくことが主な役割となっています。
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ケラバとは、先程の破風が取り付けられる妻側の外壁から出ている屋根の部分を指します。つまり、ケラバの先端に破風板が取り付けられるとも言えます。妻側のケラバに対するものにあたるのが、平側にある軒になります。ケラバは傾斜がついているので軒ほどではありませんが、日差しが室内に差し込んでくるのを防いだり、外壁や窓を雨から守ってくれます。より効果的にするには、こちらのように庇と合わせてあげるといいでしょう。
写真:モリモトアトリエ
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棟とは、複数の屋根面が山折りの状態で接する時にできる屋根の尾根の部分にあたります。寄棟造などの場合にできる屋根の最上部にある水平の棟を「大棟」といい、2つの屋根面が傾斜しながらつくる棟を「隅棟」といいます。それらに対して、複数の屋根が谷折りの状態で接する時にできる屋根の谷の部分をそのまま「谷」と呼んでいます。
写真:Nacas&Partners Inc_中道淳
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ケラバのところでも述べたように、軒とは平側の外壁から出ている部分を指します。日本の住まいでは伝統的にこの軒下の空間を縁側として利用してきたので、多くの人に馴染みのある場所であると思います。最近では、その軒と縁側空間の魅力が見直され、新たな住まいにも積極的に取り入れる例が多くみられます。縁側については、「濡れ縁?くれ縁?今人気の縁側を徹底解説!」も参考にしてみて下さい。
軒の裏側にあたる部分を「軒天」あるいは「軒裏」といいます。こちらのALTS DESIGN OFFICEが手掛けた住まいのように、この部分に板を取り付けて、垂木などが見えるのを隠しながら、すっきりとしたデザインにする例も多くみられます。また、軒は外壁から出っ張っており、万が一隣家から火事が起こった時に、一番その火をもらいやすい部分になることから、防火材を軒天に用いて延焼を防ぐ役割も果たしてくれます。
軒先とは、そのまま軒の先端の部分を表しますが、鼻隠しという言葉はなかなか耳慣れない言葉だと思います。鼻隠しとは、その軒先に取り付けられる横板の部材のことを指します。その役割とは、ケラバの端に取り付けられる破風と同様に、雨や風から屋根を守ると同時に、すっきりとした見た目に仕上げる役割も担っています。また、鼻隠しに雨樋を取り付けることもあり、軒の端にあたる場所ではありますが、非常に重要な部分でもあります。
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※ 屋根の種類まとめ
こちらの住まいは、自然あふれる里山の空気に馴染むまるで小屋のような素朴さとシンプルさが魅力の住まい。白い外観はガルバリウム鋼板と特徴的な三角屋根が里山の風景に馴染んでいます。勾配屋根の裏側の化粧垂木が意匠性を高めていますね。
クレジット:おかやま設計室