モダンスタイルとひとくちに言っても、モダニズムが始まった20世紀初頭のものから和のテイストをモダン風にしたものまで、さまざまな種類があります。装飾性をそぎ落としていくというモダニズムスタイルは、どこか冷たい感じがしてしまうことも。シンプルかつ暖かさを感じるような部屋なら、スタイリッシュでありながらもくつろげる部屋になりそうです。今回はそんな暖かさを感じられるお部屋をご紹介します。
建築におけるモダンスタイルの始まりは、装飾性からの決別であり、合理的で機能的な建物づくりを目指してきました。ポストモダンの時代を経て、様々な形に変化を遂げています。こちらのキッチンダイニングは、東京のリノベーション会社・スタイル工房の手によるもの。コンクリートの天井、白く塗られた壁にウッディな床材、白いタイルのオープンキッチンと、いろいろな質感の異なる素材が使われています。冷たい感じがするコンクリートにウッディテイストを取り込むことで、やさしく暖かなお部屋となっています。
こちらのリビングは、床がモルタルの土間。写真手前は少し段差があるフローリングとなっています。マンションの構造的に取り除くことのできない耐力壁を残して作り出された空間はとても広々と開放的。冷たい印象になりがちな枠構造をもちながらも、壁の白、明るい色合いの家具を取り入れることで、柔らかな雰囲気になります。さらにナチュラルテイストを加えてくれているのがあちこちに置かれた観葉植物。ラグもグリーンで揃えることで、クールな印象にまとまっています。
工場や倉庫を思わせるようなラフなインダストリアルスタイル。鉄骨の梁構造がむき出しになっているのがクールでもあり、お部屋のアクセントにもなっています。鉄やコンクリートの床の冷たい質感が構成する空間ながらも、あたたかく感じさせてくれるのは、あちこちに置かれたウッディカラーの家具たちと観葉植物のおかげでしょうか。パッと目を引くようなアクセントカラーがあるわけではないのですが、ラフだけれどどこかほっとするインテリアになっています。
モダンなスタイルの浴室、と言われて思い浮かべる空間ってどんなものでしょうか。こちらの浴室は、たぶん皆さんの想像を大きく超えてくるモダンでスタイリッシュなデザインです。浴槽は床面を穿った形。そばにはシェーズロングが置かれていて、まるでプールサイドを思わせるインテリアです。浴室の一面は全開にできるサッシとなっているため、露天風呂のように楽しめそうです。グレーの石造りですが、庭木や天井の色ゆえに自然の暖かさが感じられますね。
Photo: Yoshinori Komatsu
直線で構成されることの多いモダンスタイル。その形ゆえに硬さを感じさせることも多いのではないでしょうか。こちらの階段は、壁面に二層にわたって本棚が作り付けられています。きっちりとした格子の形状が美しい機能的な空間。直線的な構造でありながら明るく柔らかな印象を受けるのは、ひとえにその素材のおかげでしょう。明るい色の木材で統一されたこの空間は、整然とした印象を与えると同時に、人のあたたかな気配を感じさせてくれます。
Photo: Yousuke Harigane (TechniStaff)
白を基調とした機能的でシンプルなインテリアは、モダンスタイルでよく見かけるもの。こちらのお宅のLDK空間も、ベースは白。淡い木の色とベージュの家具を組み合わせることで、すっきりと落ち着いた印象のお部屋にコーディネートされています。こちらのお部屋で特筆すべきは横に長く開けられた窓ではないでしょうか。外に広がる美しい茶畑のグリーンが、窓によって綺麗に切り取られており、まるで絵を飾っているかのような感覚すら覚えそうです。シンプルな色合いの内装に、あたたかな伊吹を吹き込んでくれる素敵なデザインですね。