通り土間という言葉を最近目や耳にしたことがある方も少なくないのではないでしょうか。近年、土間の魅力が再認識され、昔ながらの土間空間を現代の暮らしに適用させながら取り入れている住まいが増えていますが、それは土間のかたちの中でも他とは違った特徴や魅力を持っているものになります。そこで今回は、通り土間の特徴とメリットについてまとめて紹介していきたいと思います。
通り土間とは、廊下のような通路のように家の中を通り抜けるかたちの土間を指します。玄関土間のように、通常は玄関の周囲に取り入られることが多い土間ですが、通り土間は、玄関から台所にある勝手口まで抜けるようなタイプになります。その床は、他の土間と同様に、タイルやコンクリートで仕上げられることが一般的で、土足で家の中を通り抜けられるような住まいにしてくれます。
それでは、ここからは通り土間のメリットについて1つ1つ見ていきましょう。そのメリットとしてまず挙げられるのが、利便性の高さです。玄関から家の裏にある勝手口まで土足でそのまま歩いていけることから、買い物袋を玄関からキッチンまで靴を脱ぐことなくそのまま持って行けたり、家の裏手にある庭や駐車スペースにそのまま出ていけるなど、家の中を靴を履いたまま移動できることと玄関が2つあるような使い勝手の良さを感じることができるでしょう。
写真:鈴木研一
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家の中を心地良い風が吹き抜けるような風通しの良い住まいにしたいという方も多いと思いますが、家の表と裏をつなげるような通り土間であれば、2つの開口部を開け放つことで優れた通気性を期待することができます。この通り土間の通気性の良さを利用して、土間で洗濯物を干したり、暑い夏の日でも涼しく快適に過ごせるようにくつろぎの空間を土間空間に設けたりと、こうした魅力を活かした家づくりも考えていきましょう。
写真:624PHOTO村田雄彦
通常の土間と同様に、便利な収納スペースとして利用できることも通り土間のメリットの1つとして挙げられます。靴を履いたまま家の中に入れる土間であるので、自転車やベビーカー、ガーデニング用具など、外で使う汚れやすい物でも室内に安心して収納できます。また、家の表の玄関だけでなく、反対側の出入り口を使って直接建物の裏側に出入りすることもできるので、その使いやすいさも非常に魅力的となるでしょう。
通り土間によって、家の中の空間を間仕切り壁なしで柔らかく仕切れることもメリットとして挙げられます。土間と室内の床の段差によって、間仕切り壁なしで空間がつながりながらも区切られるような緩やかな仕切りとしての役割も果たしてくれます。二世帯住宅で親世帯と子世帯を分けたり、リビングやダイニングといった家族の空間と、寝室や子ども部屋といったプライベートな空間で分けてみてもいいと思います。その際、通り土間に飛び石のようなものを設ければ、靴を脱ぎ履きすることなく、分断された2つの空間を行き来することも容易となります。
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